よろしくお願いしますの言い換えテンプレート大全|ビジネスメールとLINEで使える例文集

またメールの最後が全部よろしくお願いしますで終わってた…。

あるある。無難だけど、結局何をよろしくなのか分かりづらいときあるよね。

そうなんだよ。上司にも取引先にも同じ文面で送ってて、ちょっと不安になってきた…。

シーンごとに言い換えパターンをいくつか持っておくと、だいぶ安心できると思うよ!
よろしくお願いしますは、とても便利な言葉です。
一方で、その一言に頼りすぎると
- 何をしてほしいのか伝わりにくい
- どのくらい丁寧にしたいのか分かりづらい
- 相手との距離感がいつも同じに見えてしまう
こうした問題も生まれやすいでしょう。
この記事では、よくあるビジネスメールや社内チャット、LINEやプライベートのやりとりまでを整理しながら、そのまま使える言い換えテンプレートをまとめていきます。
この記事で分かること
- ビジネスメールでよろしくお願いしますを多用したとき、相手からどう見えるか
- 依頼、ご確認、お礼など、目的別に使い分けられる言い換えフレーズ
- 社内メールやチャットで、同僚、上司、部下それぞれに合う締めの言葉
- 初めての相手や取引先でも失礼になりにくい、丁寧な表現テンプレート
- 自分用の定番セットを作るための整理の仕方と、NGからOKへの書き換え例
一度に全部覚える必要はありません。
まずは自分がよく使うよろしくお願いしますを一つ決めて、この記事の中から置き換えやすいフレーズを選ぶところから始めてみてください。
よろしくお願いしますを多用するとどう見えるか

「よろしくお願いします」は、とても便利な表現です。
初対面でも、メールでも、LINEでも、とりあえず付けておけば無難な締め方になります。
その一方で、この一言に頼りすぎると、相手からは「いつも同じ」「結局何をしてほしいのか分からない」と受け止められることもあります。
ここでは、よろしくお願いしますを多用したときに、相手の目にはどう映るのかを整理しておきます。
便利だけれど情報量が少ないフレーズ
よろしくお願いしますには、いくつかの意味がまとめて入っています。
お願いしたい気持ち、相手への配慮、今後も良い関係でいたいという思い。こうしたものが一言に圧縮されている形と言えるでしょう。
ただし、その中身はほとんど説明されていません。
たとえば、次のようなメールを考えてみます。
明日までに資料の確認をお願いします。よろしくお願いします。
一見すると問題のない文章に見えるはずです。
ただ、受け取る側からすると「どこまで確認すれば良いのか」「重要度はどのくらいなのか」といった情報があいまいなまま残ります。
本来なら「数字の部分を中心に確認してほしいのか」「全体の方向性を見てほしいのか」「誤字脱字のチェックがメインなのか」といった点をはっきりさせたい場面でしょう。
ところが、最後をよろしくお願いしますだけでまとめてしまうと、その具体的な行動イメージが相手任せになります。
依頼なのか、お礼なのか、今後の関係の確認なのか。
状況によって意味は変わるのに、言葉がすべて同じだと、相手は文脈から推測するしかなくなります。
その結果、期待していた動きと、実際の動きにずれが出ることもあり得ます。
ビジネスメールでの印象
ビジネスメールでは、文末が毎回「よろしくお願いします」で終わるパターンも多いと思います。
悪い表現ではありませんが、重要な依頼メールも、軽い連絡メールも、すべて同じ締め方だと、相手にとっての違いが見えにくくなります。
たとえば、明確に期限を意識してほしいときは、
〇日までにご回答いただけますと助かります。
と書いた方が、相手は動きやすいでしょう。
それでも最後を単に「よろしくお願いします」でまとめてしまうと、急ぎなのかどうか、どこまでを求めているのかがぼやけます。
また、目上の相手や取引先とのやりとりでは、細かな言い回しが「丁寧に対応しているかどうか」の判断材料になりやすいです。
いつも
以上、よろしくお願いします。
だけで終わっていると、「失礼」とまではいかなくても、「どのメールも同じ印象」「少し事務的」という評価につながる場合があります。
一方で、
以上、ご確認のほどよろしくお願いいたします。
お忙しいところ恐縮ですが、ご対応いただけますと幸いです。
このように、何をしてほしいのかを一言添えるだけで、相手の受け取り方は変わってきます。
文面全体の丁寧さも、ぐっと伝わりやすくなるはずです。
プライベートやLINEでの印象
プライベートのやり取りや、LINEでも、よろしくお願いしますはよく使われます。
友人からの誘いに対して、
当日よろしくお願いします。
と送るだけでも意味は通じますが、相手によっては少し事務的に感じることもあるでしょう。
同じ内容でも、
誘ってくれてありがとう。当日よろしくお願いします。
と書くと、受ける印象は柔らかくなります。
感謝の一言が入るだけで、距離感が近づいたように感じる人も多いはずです。
逆に、親しい友人や家族とのLINEで、ビジネスメールのような硬い表現ばかり使うと、必要以上に距離があるように見える場合もあります。
たとえば、
本日はよろしくお願いいたします。
という表現は、仕事の場面なら自然ですが、日常のやり取りでは少し重く感じる人もいるでしょう。
プライベートでよろしくお願いしますを使うときは、感謝や楽しみな気持ちを一言足すこと、自分と相手の距離感に合わせて少しトーンを落とすこと。
この二つを意識しておくと、「そっけなさ」や「よそよそしさ」を避けやすくなります。
今の自分が、どの場面でも同じようによろしくお願いしますを使っていないか、一度振り返ってみると良いかもしれません。
次のパートでは、そこから一歩進んで、どう言い換えれば情報量と丁寧さを両立できるのか、その基本的な考え方を整理していきます。
よろしくお願いしますの言い換え基本ルール
同じ「よろしくお願いします」でも、少し中身を分解してあげるだけで、相手に届く印象は大きく変わります。
ここでは、このあと具体的なテンプレートを使う前提として、押さえておきたい基本ルールを整理します。
イメージしておきたいのは次の三つです。
- 何をよろしくしたいのかをはっきりさせること
- 相手との距離感に合う敬語レベルを選ぶこと
- お願いとお礼をセットで考えること
順番に見ていきます。
何をよろしくしたいのかを言葉にする
まず意識したいのは、「よろしくお願いします」の前に置く言葉です。
ここがぼんやりしていると、相手は結局何をすればいいのか、自分で解釈するしかありません。
たとえば、よくある一文を見てみます。
「資料を送付いたします。よろしくお願いします。」
意味は伝わりますが、行動までは具体的にイメージしにくいでしょう。
ここで一歩進めて、
「資料を送付いたします。内容をご確認いただけますと幸いです。」
と書き換えるだけで、「確認してほしい」という意図がはっきりします。
同じように、
「ご検討よろしくお願いします。」
よりも
「この条件での実施可否について、ご検討いただけますと幸いです。」
「ご対応よろしくお願いします。」
よりも
「〇日までにご対応いただけますと大変助かります。」
という形にした方が、相手は動きやすくなるでしょう。
ポイントは、「ご確認」「ご検討」「ご対応」「ご返信」のように、相手にしてほしい動作を一語でいいので前に置くことです。
これだけで、同じ「よろしくお願いします」でも情報量がかなり増えます。
相手との距離と敬語レベルを合わせる
二つ目の軸は、誰に向けて書いているかという視点です。
同じ言い回しを、同僚、上司、取引先、友人にそのまま使い回すと、丁寧すぎたり、逆に軽く見えたりする場面が出てきます。
たとえば社内チャットで、同僚に対してなら、
「これ、時間あるときに見てもらえると助かります。」
くらいの柔らかさでも十分でしょう。
同じ内容を上司に送るなら、
「お手すきの際にこちらをご確認いただけますと助かります。」
と、一段敬語を上げた方が自然に感じるはずです。
取引先の場合は、もう少しフォーマルに寄せます。
「お忙しいところ恐れ入りますが、こちらの内容をご確認いただけますと幸いです。」
友人やプライベートなLINEなら、さらにトーンを落として、
「この前の件、時間あるときに見ておいてもらえると助かる。」
ぐらいでも問題ありません。
大事なのは、自分の中でざっくりとでも「社内」「社外」「プライベート」の三段階を意識しておくことです。
相手との距離が近いほど、敬語を少しだけ崩す。距離が遠いほど、ていねい寄りに寄せる。
このくらいの感覚を持っておくと、締めの一文が浮きにくくなります。
お願いとお礼をセットで考える
三つ目のポイントは、「お願い」と「お礼」を別々のものと見ないことです。
よろしくお願いしますだけで締めるのではなく、「してもらったらこう感じる」という気持ちを一行足しておくと、印象が柔らかくなります。
たとえば、依頼メールの最後を、
「ご対応のほどよろしくお願いいたします。」
だけで終わらせず、
「ご対応のほどよろしくお願いいたします。お忙しいところ恐れ入りますが、ご協力いただけますと大変助かります。」
とするだけで、押し付け感が和らぐでしょう。
少し短めにするなら、
「ご確認いただけますと助かります。」
「ご対応いただけますと幸いです。」
のように、「助かります」「幸いです」までをセットで覚えておくと使いやすいはずです。
プライベートな場面でも同じ考え方が使えます。
「当日よろしくお願いします。」
よりも
「誘ってくれてありがとう。当日よろしくお願いします。」
とした方が、相手への感謝が伝わりやすくなります。
お願いとお礼をセットで考えておくと、「お願いしっぱなし」ではなく、「協力してくれることへの感謝も含めた一文」になっていきます。
その結果、同じ内容をお願いしていても、受け取る側の負担感はかなり変わってくるでしょう。
この三つの基本ルールは、このあと出てくる具体的なテンプレの土台になる部分です。
すべてを意識し続ける必要はありませんが、「このお願いは何をしてほしいのか」「相手との距離感はどうか」「一言お礼を入れられないか」と一度だけ立ち止まるだけでも、文章の印象は少しずつ変わっていきます。
ビジネスメールで使える言い換えテンプレート

ここからが、ビジネスメール向けのメインテンプレです。
依頼、確認、案内、お礼。
どれもつい「よろしくお願いします」で締めがちですが、少し言い換えるだけで印象が変わります。
全部覚える必要はありません。
まずは「よく使う一文」を二、三個だけ決めて、自分の定番として回していくイメージで読んでみてください。
依頼メールの締めに使えるフレーズ
依頼のメールで「よろしくお願いします」だけだと、強さも緊急度も伝わりにくくなります。
何をしてほしいのか、と、してもらえたらどう助かるのか。
この二つを一文の中に入れていくイメージです。
依頼の締めに使いやすいテンプレをまとめます。
シンプルに依頼したいとき
ご確認のほどよろしくお願いいたします。
ご対応のほどよろしくお願いいたします。
どちらも汎用性が高く、最初の一本として持っておくと使いやすいでしょう。
少しやわらかく、協力をお願いしたいとき
ご確認いただけますと助かります。
ご対応いただけますと大変助かります。
ご協力いただけますと幸いです。
「助かります」「幸いです」を入れると、命令ではなく「協力のお願い」というニュアンスになります。
重要度を少し上げたいとき
〇日までにご対応いただけますと大変助かります。
〇日までにご確認いただけますと幸いです。
期限を一度だけはっきり書いておくと、相手も優先度を判断しやすくなります。
資料送付や案内メールでの言い換え
資料を添付したり、案内文を送ったりするときも、最後をすべて「よろしくお願いします」で締めてしまいがちです。
ここは「見てほしいのか」「保管してほしいのか」「必要なときに参照してほしいのか」で言い方を変えてみると良い場面だと思います。
資料を送ったときの定番
添付資料をご査収のほどよろしくお願いいたします。
資料をご確認いただけますと幸いです。
お時間のある際に、内容をご一読いただけますと幸いです。
「ご査収」は、受け取って確認しておいてほしい、という意味を含んだ言い方です。
少し固めではありますが、取引先向けには使いやすい表現でしょう。
案内・共有だけしておきたいとき
情報共有まで失礼いたします。必要に応じてご参照いただけますと幸いです。
参考までに資料をお送りいたします。必要時にご確認いただければと存じます。
「必ず対応してほしいわけではない」ときは、このようなトーンの方が目的に合うことが多いはずです。
変更点を伝えるとき
変更点を赤字で記載しておりますので、ご確認いただけますと幸いです。
修正箇所をご確認のうえ、問題なければご一報いただけますと助かります。
どこを見てほしいのかを一つだけ添えておくと、相手の作業時間も短くできます。
返信や対応を促したいときのフレーズ
返信が必要なメール、対応期限のある依頼。
ここでも「よろしくお願いします」だけだと、急ぎなのかどうかが伝わりにくい部分です。
やり過ぎない範囲で、少しだけ具体的にしていきます。
返信をお願いしたいとき
お忙しいところ恐れ入りますが、ご返信いただけますと幸いです。
お手すきの際にご回答いただけますと助かります。
差し支えなければ、〇日までにご返答いただけますと幸いです。
「お手すきの際に」と「〇日までに」は、使い分けできると便利です。
急ぎではないときは前者、期限があるときは後者、というイメージでしょう。
対応を急いでほしいとき
お急ぎのところ恐縮ですが、〇日〇時までにご対応いただけますと大変助かります。
緊急のお願いとなり恐縮ですが、できる範囲でご対応をご検討いただけますと幸いです。
強くお願いしたいときほど、「恐縮ですが」「できる範囲で」といった一言を添えておくと、受け手の負担感が和らぎます。
確認後の一報がほしいとき
ご確認のうえ、問題なければ一言ご返信いただけますと幸いです。
ご査収いただき、内容に問題がないようでしたら、その旨ご連絡いただけますと助かります。
「一報」「その旨ご連絡」といった言い回しも、フォーマルな場では使いやすい表現です。
今後のお付き合いを意識した締めの言葉
メールの末尾で、「今後ともよろしくお願いします」と書く場面も多いはずです。
ここも、少しだけ言い換えの幅を持っておくと、相手や状況に合わせて選びやすくなります。
基本の定番表現
今後ともよろしくお願いいたします。
引き続きよろしくお願いいたします。
この二つは、ビジネスメールの締めとしてほぼ万能に使える定番でしょう。
取引先や顧客向けに、少し丁寧にしたいとき
今後とも変わらぬご愛顧のほど、よろしくお願い申し上げます。
引き続きご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
あまり多用しすぎると重く感じられるため、重要な案内や挨拶のメールで使うくらいがバランスとしてはちょうど良いはずです。
関係性を前向きに続けたい気持ちを伝えたいとき
今後とも、末長いお付き合いのほどよろしくお願いいたします。
今後とも、良好な関係を築いていければ幸いです。
単なる定型文ではなく、「どういう関係でいたいか」を少しだけ文章にすると、印象はかなり変わってきます。
ここで挙げたフレーズは、すべて「よろしくお願いします」の代わりに末尾につけられる形にしてあります。
まずは、自分がよく使うパターンを二つ、三つ選び、それだけを意識して使ってみると良いでしょう。
習慣になってくると、メールを書くたびに「今日も同じ締めになってしまった」と感じることが減っていくはずです。
社内メール・チャットで使える言い換えテンプレート
Teams、Slack、社内メールなどでは、ビジネスメールほどかしこまらなくても構わない場面が多いはずです。
とはいえ、相手との関係や立場によって、言葉の強さや距離感は変えた方が安心でしょう。
ここでは
- 同僚に向けたフランク寄りの表現
- 上司に向けたていねい寄りの表現
- 部下や後輩にお願いするときの表現
この三つに分けて、すぐに使えるテンプレをまとめます。
同僚へのフランク寄りテンプレ
同僚に対しては、かしこまりすぎる必要はありません。
ただ、短く「よろしくお願いします」だけを送ると、どこか事務的な印象になることもあるでしょう。
少し力を抜きつつ、協力への感謝も伝わる形を目指します。
使いやすい言い換えは次のようなものです。
どうぞよろしくお願いします。
対応してもらえると助かります。
見てもらえるとありがたいです。
ここだけチェックしてもらえると助かります。
〇日までに対応してもらえたらうれしいです。
チャットで一行だけ送りたいときは
対応してもらえると助かります。
見てもらえるとありがたいです。
この二つを定番にしておくと使い回しやすいはずです。
堅すぎず、雑にもならない中間のトーンと言えるでしょう。
上司へのていねい寄りテンプレ
上司に対しては、同僚よりも一段ていねいな言い回しを選びたいところです。
とはいえ、メールほど長く書くと、チャットでは重く感じられる場合もあります。
短めでも丁寧さが伝わる表現を押さえておくと便利です。
定番として持っておきたいのは、次のあたりです。
ご確認いただけますと幸いです。
ご確認のほど、よろしくお願いいたします。
ご教示いただけますと幸いです。
お時間のある際に目を通していただけますと助かります。
問題ないようでしたら、その旨ご共有いただけますと幸いです。
特に「ご確認いただけますと幸いです」「ご教示いただけますと幸いです」は、上司向けチャットでも違和感なく使える表現でしょう。
短く送るなら
ご確認いただけますと幸いです。
これをまず一本決めておき、状況に応じて前後の文章を調整していくと書きやすくなります。
部下や後輩にお願いするときのテンプレ
部下や後輩に対しては、指示になりすぎないようにしつつ、やるべきことがはっきり分かる言い方を意識したいところです。
曖昧すぎる表現だと、相手がどこまでやれば良いのか迷いやすくなります。
お願いベースで伝えたいときは、次のようなフレーズが使いやすいでしょう。
対応してもらえると助かります。
時間のあるときに確認してもらえるとありがたいです。
今日中にここだけ対応してもらえると助かります。
まずはたたき台だけ作ってもらえると助かります。
気になる点があれば教えてもらえるとうれしいです。
もう少し指示に近づけたい場面では
〇日までに対応をお願いします。
この部分だけ先に進めてもらえますか。
といった形でも問題ないでしょう。
そのうえで、「助かります」「ありがたいです」をセットにしておくと、命令だけの印象は弱まります。
社内のやり取りでは、メールほど形式ばらなくても構いません。
ただ、誰に向けて送っているかを意識しながら
- 同僚には少しラフに
- 上司には一段ていねいに
- 部下や後輩には具体的に
この三つの軸を押さえておくと、「全部同じよろしくお願いします」から一歩抜け出しやすくなるはずです。
取引先・目上に使うフォーマル表現テンプレ
取引先や目上に対しては、社内チャットより一段丁寧な言い方が求められます。
ここでは、いわゆるフォーマル寄りの「よろしくお願いします」の言い換えを整理します。
ポイントは三つです。
- 基本の丁寧表現を数パターンだけ押さえておくこと
- 協力を強くお願いしたいときの言い方を用意しておくこと
- やりすぎ敬語や誤用を避けること
順番に見ていきます。
より丁寧なよろしくお願いしますの言い換え
取引先や目上に対して、最低限押さえておきたいのが次の三つです。
- よろしくお願いいたします。
- よろしくお願い申し上げます。
- 何卒よろしくお願いいたします。
まず、もっとも汎用的なのが「よろしくお願いいたします」です。
ビジネスメールでは、この形を基本形として持っておくと、多くの場面でそのまま使えるでしょう。
もう一段かしこまりたいときは「よろしくお願い申し上げます」。
感謝や敬意を強めたい場面、挨拶メールや案内文の末尾などで使いやすい表現です。
「何卒よろしくお願いいたします」は、相手の配慮や協力を特にお願いしたいときに選びます。
初めての取引開始の挨拶、重要な依頼、こちらの都合を聞いてもらうお願いなどで使うと、気持ちが伝わりやすいでしょう。
同じ案件でメールを何度もやり取りする場合は、
一通目:よろしくお願いいたします。
重要なお願い:何卒よろしくお願いいたします。
最後の挨拶:今後ともよろしくお願い申し上げます。
というように、少しずつ表現を動かしていくと、文面が単調になりにくくなります。
強めのお願いをするときのテンプレ
相手にしっかり動いてもらいたいときほど、「よろしくお願いします」だけでは力不足になりがちです。
かといって命令調になるわけにもいかないので、丁寧さを保ちつつ、協力の必要性を伝えるフレーズを用意しておくと安心です。
強めのお願いで使いやすいのは、次のような形です。
- ご協力のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
- 本件につきまして、ご対応のほど何卒よろしくお願いいたします。
- 前向きにご検討いただけますと幸いに存じます。
- お忙しいところ恐れ入りますが、ご配慮賜れますと幸いです。
「ご協力のほど何卒よろしくお願い申し上げます」は、イベント集客やアンケート依頼など、相手の協力が必要な場面で使いやすいフレーズです。
「前向きにご検討いただけますと幸いに存じます」は、契約や提案など、承諾してほしいが決定権は相手にある場合に向いています。
また、期限がはっきりしているときは、
誠に恐れ入りますが、〇日までにご対応いただけますと大変助かります。
のように、期限と「助かります」を組み合わせると、相手も優先度を判断しやすくなるでしょう。
強めのお願いをするときほど、「何卒」「恐れ入りますが」「助かります」「幸いです」といったクッションを一語入れておくと、押し付け感が薄れます。
やりすぎ敬語・誤用に注意したい表現
フォーマルにしようとすると、つい「漢字だらけ」「長くてくどい文章」になりがちです。
特によくあるのが、次のような書き方です。
漢字を増やした方が丁寧に見えると考えてしまいがちですが、ビジネス文書では「よろしく」「いたします」をひらがなにする形が一般的です。
「宜しくお願い致します」は失礼とまでは言えないものの、かえって古くさい、または崩れた印象を与えることがあります。
くどくなりやすいパターンも挙げておきます。
同じ意味のフレーズを続けて二回重ねると、読み手には冗長に映ります。
一つに絞った方が、かえって丁寧で落ち着いた印象になるでしょう。
もう一つ、強調しようとして長くしすぎる例です。
言いたいことが増えると、つい言葉を足してしまいますが、「末長く」まで盛り込むと回りくどい印象になりやすいです。
意味が重なっている部分は削り、短く整えた方が読みやすくなります。
フォーマル表現は、「漢字を増やす」「言葉を足す」方向に寄りやすい部分です。
最終的なチェックとして、
- 読みづらくなっていないか
- 同じ意味の言葉を重ねていないか
- 必要以上に長くなっていないか
この三点だけ見直しておくと、かしこまりつつもすっきりした文章に整いやすくなります。
自己紹介・初回連絡で使えるよろしくお願いしますの言い換え

自己紹介や初めての連絡は、その後のやり取り全体の印象を決める大事な一歩になります。
ここでの「よろしくお願いします」は、単なる締めの一言ではなく、「これから関わっていきたい」という姿勢を伝える役割も持っています。
ビジネスメール、面談や打ち合わせ、オンラインコミュニティ。
場面ごとに、少しずつ言い方を変えておくと、丁寧さと距離感のバランスが取りやすくなるでしょう。
ビジネスの初回メールで使えるテンプレ
ビジネスの初回メールでは、
- 名乗る
- 連絡の目的を簡潔に伝える
- 今後の関わり方を一言添える
この流れを意識すると書きやすくなります。
基本の型は次のような形です。
初めてご連絡差し上げます。株式会社〇〇の△△と申します。
貴社ホームページを拝見し、ご挨拶を兼ねてご連絡いたしました。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
名乗りと連絡理由を短くまとめ、そのうえで「今後ともどうぞよろしくお願いいたします」と添える流れです。
少し業務寄りの内容であれば、次のような書き方も使えます。
初めてご連絡差し上げます。〇〇株式会社の△△と申します。
今回、貴社のサービス導入についてご相談したく、ご連絡いたしました。
お手数をおかけいたしますが、ご検討のほどよろしくお願いいたします。
はじめての取引打診や相談では、「今後とも」よりも「ご検討のほど」「ご対応のほど」など、具体的な動きを意識した言い換えが自然です。
紹介経由の場合は、一言そのことを入れると相手も状況を把握しやすくなります。
お世話になっております。〇〇様よりご紹介いただきました、△△と申します。
このたびはご挨拶を兼ねてご連絡いたしました。
ご多忙のところ恐れ入りますが、何卒よろしくお願いいたします。」
このように、初回メールでは「よろしくお願いします」を、
今後ともどうぞよろしくお願いいたします
ご検討のほどよろしくお願いいたします
何卒よろしくお願いいたします
といった形に置き換えつつ、前に「挨拶」「連絡の目的」をきちんと置くことが大切です。
面談・面接・打ち合わせ前後に使うフレーズ
対面やオンラインでの面談、面接、打ち合わせでは、当日と事前事後で言い方を少し変えておくと便利です。
当日の冒頭で使いやすいのは、次のような一文です。
本日はお時間を頂戴し、ありがとうございます。
どうぞよろしくお願いいたします。
本日は面談のお時間をいただき、ありがとうございます。
短い時間ではございますが、何卒よろしくお願いいたします。
どちらも、感謝とこれから関わる姿勢をセットで示す形になっています。
打ち合わせ後に送るフォローのメールやチャットでは、こうした書き方が使えます。
本日はお忙しい中、お時間をいただきありがとうございました。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
本日は貴重なお時間を頂戴し、ありがとうございました。
いただいた内容を踏まえ、社内で検討を進めてまいります。
引き続きよろしくお願いいたします。
打ち合わせの内容に触れながら締める場合は、
本日は具体的なご説明をいただき、ありがとうございました。
ご提案内容について前向きに検討させていただきます。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
のように、「検討する」「進める」といった今後の動きを一言添えると、単なる挨拶で終わらず、次のステップが見えやすくなります。
オンラインコミュニティやSNSでの柔らかい初回挨拶
オンラインコミュニティやSNSのグループでは、ビジネスメールほど固くせず、ただ崩しすぎもしないバランスが必要になります。
ここでは、参加時や初めての自己紹介で使いやすいテンプレをまとめます。
参加時の基本形は、次のような挨拶です。
参加させていただきありがとうございます。〇〇と申します。
まだ不慣れな点もありますが、これからお世話になります。
少し自己紹介を足したい場合は、
参加承認ありがとうございます。〇〇と申します。
△△の仕事をしており、□□に興味があって参加させていただきました。
まだ慣れていませんが、少しずつ関わっていければうれしいです。」
といった形にすると、他のメンバーも声をかけやすくなります。
趣味のコミュニティや、ゆるめのグループでは、敬語を少しだけ和らげたパターンも使えます。
招待ありがとうございます。〇〇と申します。
△△が好きで参加しました。
ゆっくりになりますが、よろしくお願いします。
一方で、仕事に近い勉強会やオンラインサロンであれば、
このたびは参加させていただきありがとうございます。〇〇と申します。
学ばせていただくことが多いと思いますが、今後ともよろしくお願いいたします。
のように、やや丁寧寄りで締めた方が落ち着いた印象になるでしょう。
オンラインの初対面では、「よろしくお願いします」を
これからお世話になります
少しずつ関わっていければうれしいです
学ばせていただくことが多いかと思いますが、よろしくお願いいたします
といった表現に差し替えるだけでも、柔らかさと前向きな姿勢が伝わりやすくなります。
NG→OKで分かるありがちなミスと書き換え例
よろしくお願いしますまわりの表現は、少し丁寧にしようとして「なんとなくそれっぽい言葉」を重ねやすいところです。
その結果、漢字が多すぎたり、同じ意味の言葉を繰り返したり、くどい締めになってしまうケースもよくあります。
ここでは、実際によく見かける文面を取り上げて、NG→OKの形でそのまま書き換えに使えるテンプレをまとめます。
あわせて、長すぎる締めをすっきりさせるときの考え方も整理しておきます。
ありがちなNG例とそのまま使えるOKテンプレ
まずは、ありがちな一文をそのまま書き換えた例から見ていきます。
細かい敬語のルールをすべて覚えるより、「この形にしておけば無難」なラインを数パターン持つ方が実用的だと思います。
「宜しく」「致します」とすべて漢字にするより、「よろしく」「いたします」をひらがなにした方が、一般的なビジネス文書のスタイルに近づきます。
一文めで「お願い申し上げます」、二文めで「連絡お待ちしております」と分かれていると、ややバラバラな印象になりやすいです。
お願いの文は「何卒よろしくお願いいたします」で完結させて、二文めは「ご連絡をお待ちしております」とシンプルにまとめた方が読みやすいでしょう。
「取り急ぎよろしくお願いします」は、目上の相手にはややカジュアルに響くことがあります。
「取り急ぎ、ご連絡までとさせていただきます」で一度文を区切り、そのうえで「引き続きよろしくお願いいたします」と続けると、急ぎつつも落ち着いた印象になります。
ほかにも、よくある書き換え例をいくつか挙げておきます。
「ご確認よろしくお願いします」は口語寄りです。
メールでは「ご確認のほど」と一語足すだけで、丁寧さが一段階上がる形になります。
イベントやアンケートなどで協力をお願いするときは、「何卒」を入れた方が、かしこまりつつも気持ちが伝わりやすいでしょう。
ビジネスメールでは、「お願いいたします」の形に揃えておくと安心です。
同じフレーズを何度も使う場合は、後のパートで出てきた「引き続き」「変わらぬご愛顧のほど」などと入れ替えながら使うと、単調さも減らせます。
NG文を見つけたら、まずはここで挙げたOK文にそのまま差し替えてみることを意識すると良いでしょう。
細かな敬語のルールを気にする前に、自分用の「この一本なら安心」という締め方を決めることが、ミスを減らす近道になります。
長すぎる締め・くどい締めの整理
丁寧にしようとするあまり、文末が長くなりすぎるパターンもよく見かけます。
大きく分けると、次のようなタイプが多いでしょう。
- 同じ意味の言葉を重ねている
- 「よろしく」を二回以上繰り返している
- 装飾語を足しすぎて読みづらくしている
順番に、書き換え例を見ていきます。
同じ意味を重ねているパターン
「何卒」「末長く」まで一度に入れると、意味が重なってくどく感じられます。
「今後とも」「変わらぬご愛顧」「よろしくお願い申し上げます」で十分気持ちは伝わるため、余分な部分を削って短くした方が読みやすいでしょう。
よろしくを繰り返しているパターン
同じ「よろしく」を二度続けると、強調しようとしているのは伝わるものの、文章としてはくどい印象になります。
一文の中で「ご対応のほど」と「何卒」を組み合わせるだけで、丁寧さは十分に保てます。
装飾語が多すぎるパターン
「大変恐縮ではございますが」「何卒」「お願い申し上げます」と、似た役割の言葉が続いています。
ここでは、クッションとして「恐れ入りますが」を一つだけ残し、「よろしくお願いいたします」にまとめた方がすっきりした文章になるでしょう。
締めの文が長くなったと感じたら、次の順番で見直してみると整理しやすくなります。
- 「何卒」「末長く」など、なくても意味が変わらない部分を一つ減らす
- 「よろしく」「お願いいたします」が二回以上入っていないか確認する
- それでも長い場合は、文を二つに分けるか、別の場所で感謝を伝える
この三つを意識するだけでも、くどさはかなり抑えられます。
NG→OKの書き換えは、慣れてくるとパターンで見えてきます。
すべてを暗記しようとするより、自分がよく使う締めの一文を、まず三パターンだけ整えておく。
そこから少しずつ増やしていく方が、無理なく続けやすいはずです。
まとめ|自分専用のよろしくお願いします言い換えセットを作る
ここまで、いろいろな場面のよろしくお願いしますの言い換えを見てきました。
すべてを完璧に覚える必要はありません。
大事なのは、自分が使いやすい表現をいくつか決めて、迷わず使える状態にしておくことだと思います。
最後に、今日から実践しやすい形で整理しておきます。
よく使うシーンごとに三つだけ定番を決める
まずは、よく使うシーンをざっくり分けます。
たとえば次の三つです。
- 仕事のメール
- 社内チャット
- LINEやプライベート
すべての場面をカバーしようとすると大変なので、日常的に出番が多いところから優先して考えると負担が少なくなります。
次に、それぞれのシーンで使うフレーズを三つだけ決めてしまいます。
たとえば、仕事のメールなら、
- ご確認のほどよろしくお願いいたします
- ご対応いただけますと助かります
- 今後ともよろしくお願いいたします
社内チャットなら、
- ご確認いただけますと幸いです
- 対応してもらえると助かります
- 見てもらえるとありがたいです
プライベートなら、
- 誘ってくれてありがとう。当日よろしくお願いします
- 時間あるときに見てもらえると助かる
- これからもよろしくお願いします
このように、シーンごとに三つずつ持っておくイメージです。
細かく分けすぎると運用が大変になるので、最初はこれくらいのざっくりした分け方で十分でしょう。
よく使うシーンを決めて、そこで使う言い換えフレーズを三つだけ選ぶ。
これだけでも、文章の印象はかなり変わっていきます。
テンプレをベースに、相手と文脈に合わせて微調整する
テンプレートは、そのままコピペしても使えますが、相手や状況によっては少しだけ言葉を足した方が伝わりやすくなります。
たとえば、もともとのテンプレが
「ご確認のほどよろしくお願いいたします。」
だとしたら、内容によって次のように変えることができます。
- 急ぎの依頼なら
「〇日までにご確認いただけますと大変助かります。」 - 説明資料を送るときなら
「添付の資料をご確認のうえ、ご不明な点があればお知らせいただけますと幸いです。」 - 修正の可否を聞きたいときなら
「修正案をご確認いただき、問題なければその旨ご連絡いただけますと助かります。」
元の型は同じでも、期限を足したり、相手にしてほしい次の一歩を書き足したりすると、ぐっと具体的になります。
テンプレを使うときに意識したいのは、次の三点です。
- 相手が誰か
- どこまで動いてほしいのか
- 相手にとっての負担感が強くなりすぎていないか
この三つを一瞬だけ考えてから、一語二語を入れ替える。
それだけでも、相手にとって読みやすく、動きやすい文章に近づいていきます。
返信・依頼・お礼の三本柱でフレーズを回していく考え方
よろしくお願いしますは、よく見ると用途が分かれています。
大きく分けると、次の三つの場面です。
- 返信を締めくくるとき
- 依頼やお願いをするとき
- お礼や今後のお付き合いを伝えるとき
この三つの用途ごとに、一本ずつ軸になるフレーズを決めておくと、迷う場面がかなり減ります。
たとえば、仕事のメールの場合なら、
返信用の軸
ご返信いただきありがとうございます。引き続きよろしくお願いいたします。
依頼用の軸
ご対応のほど、何卒よろしくお願いいたします。
お礼用の軸
ご対応いただき、誠にありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
という形で、それぞれ一本ずつ決めておきます。
社内チャットなら、もう少し柔らかくして、
返信用
ありがとうございます。引き続きよろしくお願いします。
依頼用
対応してもらえると助かります。
お礼用
対応ありがとう。とても助かりました。
このくらいのトーンでも良いでしょう。
返信・依頼・お礼を意識しておくと、
「今のメッセージはどのカテゴリか」
を先に決めてから、フレーズを選ぶことができます。
毎回ゼロから文面を考えるのではなく、
返信用の定番
依頼用の定番
お礼用の定番
この三本柱を持っておき、そこから少しずつ言葉を足したり引いたりしていく。
このやり方に切り替えると、文章を考える負担も減り、相手に伝わる内容も安定していくはずです。
今日の記事の中で「これなら自分でも使えそうだ」と感じた表現を、メモアプリやノートに書き出して、シーン別に三つずつ並べてみてください。
その一覧が、そのままあなた専用のよろしくお願いします言い換えセットになります。
あとは、メールやチャットを書くときに、そのセットから一文を選んで使っていくだけで、徐々に表現の幅が広がっていくでしょう。


