会議で意見を伝える言い方ガイド 質問と発言 反対意見のフレーズ集

さっきの会議、また一言もしゃべれなかった…。

え、そうなの?質問ありそうな顔してたよ?

タイミング分かんないし、変なこと言ったらどうしようって思って黙っちゃうんだよね!

言いたいことはあるのに、うまい言い方が思いつかないことあるよね!
会議で意見を求められても、口が動かない。
頭の中には「気になるポイント」や「質問したいこと」があっても、
いざ発言しようとすると
- どの言葉から始めればいいか分からない
- 空気を壊しそうで怖い
- 上司や先輩の前だと緊張する
といった理由で、結局黙ってしまう人は少なくありません。
ただ、多くの場合「意見がない」わけではなく
「言い方のテンプレートを持っていないだけ」です。
会議の場で毎回ゼロから言い回しを考えるのは、誰にとっても負担が大きいものです。
逆に、質問・発言・反対意見の「一言目」の型さえ持っていれば、
あとはその場の内容を当てはめるだけで、ぐっと口を開きやすくなります。
この記事では、会議が得意ではない人でも使いやすいように
- 質問するとき
- 賛成や補足を伝えるとき
- 反対意見や懸念を出すとき
のフレーズテンプレを、具体的な例文つきで整理していきます。
「完璧に話す」ことではなく「必要なときに一言は出せる」状態を目指すガイドです。
この記事で分かること
- 会議で意見を伝えやすくするための「事前メモの作り方」と考え方
- 質問・賛成・反対それぞれで使える、一言目のフレーズテンプレ集
- 角を立てずに反対意見や懸念を伝えるためのNG→OK言い換え例
- オンライン会議やチャットで意見を出すときの、入りやすい一言
- 会議でうまく話せなかったときのフォロー方法と、気持ちの整え方
このあと順番に、シーン別・目的別のフレーズを紹介していきます。
自分の仕事や職場の雰囲気に合いそうなものから、少しずつ取り入れてみてください。
会議で意見を伝えるのが難しい理由と基本スタンス
会議で発言が止まりやすくなるよくある理由
会議の場で口を開こうとして、言葉が出てこないまま時間だけが過ぎていく。
そんな経験をしたことがある人は少なくありません。
多くの人が最初につまずくのは「何をどこまで話せばいいか分からない」という点です。
頭の中には情報があるのに、
- この細かさで話していいのか
- こんな意見は場違いではないか
- 今このタイミングで言っていいのか
と考えているうちに、他の人の発言が続き、自分のタイミングを逃してしまいます。
さらに、日本の職場では「よく話す人」「いつも意見を出す人」がすでに決まっている会議も多くあります。
空気が読めているか不安な中で、そうしたメンバーの前で発言するのは、想像以上に緊張するものです。
人前で話すこと自体に苦手意識を持つ人もたくさんいます。
各種アンケートでも「会議で発言を求められる場面」が苦手なシーンとして上位に挙がることが多く、「自分だけが弱いわけではない」ということは押さえておきたいポイントです。
最近ではオンライン会議も増えました。
相手の表情が見えにくい、相づちが伝わりづらい、話し始めるタイミングがかぶりやすいなど、対面とは違った難しさも加わっています。
発言をしようとしても、誰かと同時にマイクをオンにしてしまい、そのまま引いてしまう人もいるでしょう。
こうした要素が重なることで、「会議で意見を言えない自分はダメだ」と自己否定に向かいやすくなります。
まずは、会議で発言しづらいのは、個人の性格だけの問題ではなく「場の構造や文化の影響も大きい」という前提を持っておくことが大切です。

目標は発言数ではなく「会議の目的に沿った一言」
会議での発言というと、「たくさん話さなければならない」「鋭い意見を言わなければならない」と考えがちです。
しかし、多くの会議で本当に求められているのは「量」ではなく「場の目的に合った一言」です。
会議には、主に次のような目的があります。
- 決めるための会議(意思決定)
- アイデアを出すための会議(ブレスト・企画会議)
- 情報を共有するための会議(報告・確認)
決めるための会議であれば、「賛成か反対か」「懸念点はどこか」が一言出れば役に立ちます。
アイデア出しの場であれば、完璧な案ではなくても「こういう方向性はどうか」と方向性レベルのひと言でも十分意味があります。
情報共有が目的なら、「自分の担当部分の状況を簡潔に伝える」ことができれば、役割は果たせます。
また、自分の立場によって、期待される発言のイメージも変わります。
- 新人・若手:自分の担当範囲の状況共有、分からない点の質問
- 中堅:現場感をふまえた懸念点の指摘、具体的な改善案
- リーダー・管理職:方針の整理、決定案の提示、議論の整理
どの立場でも共通しているのは、「会議の目的に合った情報や視点を一つでも出す」ことです。
「会議中ずっと黙っている」状態から、「一回だけでも自分の意見を出す」状態になれれば、大きな前進と言えます。
この記事で扱うフレーズは、たくさん話すためではなく、こうした「必要な一言」を出しやすくするための道具だと考えてください。
フレーズテンプレは「そのまま読む」より「骨組み」として使う
本記事では、このあと「質問するとき」「賛成するとき」「反対意見を伝えるとき」「オンライン会議で話すとき」など、場面別にフレーズテンプレを紹介していきます。
ただし、これらは一語一句そのまま暗記して読むためのものではありません。
むしろ、
- 最初の一言の入り方
- 伝える内容の順番
- きつくなりすぎない言い回し
といった「骨組み」をつかむためのサンプルだと捉えるのがおすすめです。
自分の話し方のクセや社内の雰囲気に合わせて、語尾を少しカジュアルにしたり、逆に少し丁寧にしたり。
単語を自分の業務名・案件名に置き換えたり。
そうやって少しずつアレンジしていくことで、「自分の言葉として使える会議フレーズ」に育っていきます。
読み進めるときは、全部を一度に覚えようとしなくて大丈夫です。
まずは、
- 質問が苦手なら「質問テンプレ」の章
- 反対を言うのが苦手なら「反対意見テンプレ」の章
- オンライン会議が多いなら「オンライン用テンプレ」の章
というように、自分のよくあるシーンに近いところから読み始めてみてください。
そこから二つ三つだけ「使えそう」と思うフレーズを選ぶところが、最初の一歩になります。
会議で意見を言いやすくする準備とメモの作り方
会議でうまく話せるかどうかは、その場の瞬発力だけで決まるわけではありません。
実際には、発言のしやすさの半分以上が「会議前にどこまで整理しておけたか」で変わります。
ここでは、負担にならない範囲でできる簡単な準備と、当日にそのまま見ながら話せるメモの作り方を整理します。
議題から逆算する簡単メモフォーマット
会議前に、長い資料を完璧に読み込んでおくのは理想ですが、現実的にはなかなか難しい場合もあります。
そこでおすすめなのが、次の5項目だけを一枚のメモにざっくり書いておく方法です。
- 議題
- 自分の立場
- 言いたい結論
- 根拠(例・数字・現場の実感)
- 質問候補
たとえば、議題が「新しい業務フローの案について」であれば、
- 議題:新業務フロー案について
- 自分の立場:現場で運用する担当者/顧客対応側/システム担当 など
- 言いたい結論:基本的には賛成だが、〇〇の負荷が増えそうな点が気になる
- 根拠:週あたりの対応件数、既存フローで起きているトラブル例 など
- 質問候補:実際に運用する人員をどこまで想定しているか、移行期間はあるか など
というように、短いメモで構いません。
特に、反対意見や懸念を伝えたいときは、事前に一度文章にしておくと、感情的になりにくくなります。
そのまま口に出して読み上げる必要はありませんが、「自分は何を心配しているのか」「どの条件なら賛成できるのか」を事前に可視化しておくと、会議中でも落ち着いて話しやすくなります。
資料に書き込みながら発言ポイントをマークする
会議資料が事前に配られている場合は、それ自体をメモ帳として使ってしまうのも有効です。紙でもPDFでも、次のような簡単な記号を付けておくだけで、当日の発言の取っかかりになります。
- 気になったところに「★」や「!」
- よく分からない箇所に「?」
- 自分の業務に影響しそうな部分に下線やマーカー
ポイントは、言葉でびっしりメモを書くよりも、「ここは触れたい」「ここは質問したい」と思う場所を一目で分かるようにしておくことです。
会議中に、その印が付いた箇所まで資料をパラパラとめくりながら、
- こちらのページのこの部分について一点質問させてください
- 先ほどの説明の、〇ページ目のこの箇所なのですが
と切り出せば、発言の入り口が作りやすくなります。
後のパートで扱う「質問フレーズ」と組み合わせれば、
質問したい場所 + 言い方の型
のセットができるので、「どこからどう聞けばいいか分からない」という負担をかなり減らせます。
発言が苦手な人ほど「一言目」だけ決めておく
会議で発言するときに最も緊張するのは、多くの場合「最初の一言」です。
逆に言えば、一言目さえ出てしまえば、その後は資料やメモを見ながら補足していけます。
そこで、発言が苦手だと感じる人ほど、
- 質問するときの一言目
- 賛成するときの一言目
- 懸念や反対を伝えるときの一言目
をあらかじめいくつか書き出しておくのがおすすめです。
例えば、次のような形です。
- 質問
- 一点確認させていただきたいのですが
- ここについて、少し詳しく教えていただけますか
- 賛成
- 基本的に賛成なのですが、一つだけ補足させてください
- この方向性には賛成で、そのうえで気になった点が一つあります
- 懸念・反対
- 全体としては理解したのですが、実務の観点から一つ懸念があります
- 少し違う見え方をしているので、率直に共有してもよろしいでしょうか
一言目を出した後は、事前メモに書いた「結論」「根拠」「質問候補」を見ながら、落ち着いて続ければ十分です。
発言とは、その場でゼロから文章を組み立てる作業ではなく、
会議前のメモと、一言目の型を組み合わせて「口に出していく作業」と考えておくと、気持ちがかなり楽になります。
質問するときの言い方テンプレ 基本形とシーン別フレーズ
会議で発言に慣れていないときほど、「質問したいことはあるのに、どう聞けばいいか分からない」「失礼に聞こえないか心配」という不安が先に立ちやすいです。
ここでは、どの会議でも使いやすい“基本の型”と、少し踏み込んだ場面別の質問フレーズを整理します。
ポイントは、
- 相手の意図を尊重する言い方にする
- 自分の理解を責めるのではなく「確認」を軸にする
- 反対や懸念も、まずは「質問」として投げる
この3つを押さえておくことです。
基本の質問テンプレ 結論から確認する型
一番使いやすいのは、「確認させてください」を軸にした質問です。
いきなり「ここが分からなくて…」と自分の理解不足を前面に出すより、「認識合わせ」「優先順位の確認」という形にした方が、建設的で前向きな印象になります。
基本パターン
この部分の認識を一度確認させてください。
私の理解では、〜という前提になっている認識ですが、合っていますか。
今回、優先順位として一番重視するのは 〇〇 という理解でよいでしょうか。
スケジュールのイメージについて、念のため確認させてください。
NG→OK の言い換えイメージ
相手にはっきり「分からない」とだけ伝えると、
「どこでつまずいているのか」が分からず、お互いにモヤモヤしやすくなります。
「自分が何を知りたいのか」を一言添えて聞くことで、相手も説明しやすくなります。

意図を聞く質問テンプレ
議論が細かい条件や手段に入り過ぎてしまうと、「そもそも何のためにこれをやるのか」が分からなくなることがあります。
そんなときに役立つのが、「背景・目的」を確認する質問です。
施策や企画の“狙い”を聞く
この施策の一番の狙いは、売上なのか、認知拡大なのか、念のため教えていただけますか。
今回の見直しで、特に改善したいポイントはどこでしょうか。
どの指標を見て、成功かどうか判断するイメージでしょうか。
会議の“ゴール”を確認する
今日の会議のゴールを、改めて確認させてください。
本日は方針の決定まで行うのか、方向性のすり合わせまでか、イメージを教えていただけますか。
戦略・企画会議で使いやすい一言
この案が生まれた背景を、少し共有いただいてもよいですか。
競合と比べたときに、どこを強みにしていきたいお考えでしょうか。
「意図を聞く質問」は、単なる“ツッコミ”ではなく、
会議全体を整理する役割も果たします。言い方を工夫すれば、立場が下のメンバーでも出しやすい発言になります。
リスクや懸念を質問として投げるテンプレ
心の中では「その進め方は危なくないか」と思っていても、
いきなり「その案には反対です」と言うのはハードルが高いものです。
そこでまずは、「質問」という形でリスクや懸念を共有する方法がおすすめです。
後のパートで扱う反対意見の出し方につなげる“橋渡し”にもなります。
リスクを確認する聞き方
もし 〇〇 のケースが起きたときの対応について、あらかじめ考えていることはありますか。
〜の場合、スケジュールやコストへの影響はどのくらいになりそうか、一度整理できると安心です。
この進め方だと、現場の負荷が一時的に増えそうに感じるのですが、その点はどのように見込んでいますか。
懸念を“質問”として出すフレーズ
一点だけ懸念があるのですが、〜のリスクについてはどのように考えていますか。
自分の理解が追いついていないだけかもしれませんが、〇〇 のケースが少し気になりました。この点だけ確認させてください。
ストレートな反対を避けたいとき
方向性は理解したうえで、実務の観点から一つ質問させてください。
全体の方針には賛成ですが、運用面で気になる点があるので確認したいです。
「質問」という形であれば、場の空気を大きく乱さずに
- 自分の懸念を伝える
- 相手の考えを引き出す
の両方ができます。
このパートのフレーズを押さえておくと、
「何も言えない」か「いきなり反対するか」の二択ではなく、
その中間の“ちょうどよい出し方”を選べるようになります。
賛成意見や補足を伝えるときの言い方テンプレ
会議の発言というと、どうしても
「鋭い質問」や「反対意見」をイメージしがちですが、
実はもっとも出しやすく、会議全体にもプラスになりやすいのは
「賛成+ひと言の補足」です。
- 議論の方向性をはっきりさせる
- 決定案への納得感を高める
- 発言しやすい雰囲気をつくる
といった効果があり、特に若手・中堅にとっては
「最初の一歩」として取り組みやすい発言です。
ここでは、
- シンプルに賛成を伝えるフレーズ
- 賛成しつつ条件や注意点を添えるフレーズ
- 第三者視点を足す賛成フレーズ
の順でテンプレートを整理します。
シンプルに賛成を伝える基本フレーズ
まずは、もっともハードルの低い
「私は賛成です」と一言乗せる型です。
会議によっては、
- 数人だけが延々と話し
- 他の人はうなずくだけ
ということも多く、「賛成の声」が表に出てこないまま
なんとなく決まってしまうケースもあります。
そこで、短くても構わないので、
次のような一言を足してみるイメージです。
賛成をはっきり示す基本形
私もこの案に賛成です。
私も〇〇さんのご意見に賛成です。
私も今の方向性でよいと思います。
少し理由を添えられると、発言としての価値が一段上がります。
私もこの案に賛成です。現場の負担が増えすぎない点が良いと感じました。
私も〇〇さんのご提案に賛成です。お客さまからの問い合わせ対応がしやすくなりそうだと感じました。
今回は、この方針で進めるのが妥当だと思います。スケジュール的にも現実的だと感じました。
「賛成+理由ワンフレーズ」で十分です。
長く話す必要はありません。
若手が一言乗せる価値
特に若手メンバーが
- 今の案で問題ないと思います
- 現場目線でも、この案が一番やりやすいと感じました
と一言でも乗せると、
- 上司・リーダー側は「メンバーの納得度」が見えやすくなる
- 他の人も発言しやすくなる
- 決定後の「やらされ感」が減る
といった効果があります。
「議論をまとめる発言をしよう」と思う必要はありません。
まずは「賛成です」「その方向でよいと思います」を
自分なりの口調で言えるようにしておくことが一歩目です。
賛成しながら条件や注意点を添えるフレーズ
完全に問題がない案は少なく、
「基本的には賛成だが、一部だけ気になる」
という場面も多いはずです。
そのときに役立つのが、
- 賛成の意思を先に伝える
- そのうえで「一点だけ」「二点だけ」確認・注意点を伝える
という順番のフレーズです。
基本の型
基本的にはこの案に賛成です。そのうえで、一点だけ確認させてください。
方向性には賛成です。ただ、運用面で一つだけ気になる点があります。
全体の方針には賛成ですが、スケジュール面で少しだけ懸念があります。
このあとに「具体的な懸念」を続けます。
例えば、リリースまでの期間が短いため、テスト工数が十分取れない可能性があります。
担当者が限られているので、繁忙期と重なった際の対応が気になりました。
上司や他部署の顔を立てつつ現場視点を足す
会議では、
- 方針を決める側(上層部・他部署)
- 実際に動く側(現場・自部署)
の間でギャップが生まれがちです。
そんなときに使える言い回しとして、
方針には賛成です。そのうえで、現場の観点から一つだけ補足させてください。
全体の方向性には異論ありません。ただ、オペレーションの観点で一点だけ確認したいです。
お客さま対応の現場としても、基本方針には賛成です。実務面のイメージを少し共有させてください。
といったフレーズがあります。
まず「賛成」「異論なし」を明示し、そのうえで
現場視点を補足する構成にすると、
相手の顔を立てつつ、必要なリスクや調整ポイントを出しやすくなります。
第三者の視点を持ち込む賛成フレーズ
意見を述べるとき、
- 自分個人の好みではなく
- 利用者・顧客・メンバーなど「第三者」の視点
として話すと、発言が通りやすくなる場面が多くあります。
個人の主張というより「代弁」として言えるため、
反対意見とのぶつかりが和らぐ効果もあります。
顧客・ユーザーの視点を足す
お客さまの立場で考えても、この案は分かりやすいと感じました。
ユーザー目線でも、手続きがシンプルになるので良いと思います。
サポート窓口での問い合わせをイメージすると、この仕様の方がお客さまに説明しやすそうです。
チームメンバーや現場の視点を足す
現場メンバーの目線でも、このスケジュールなら何とか回せそうだと感じました。
チームの新人メンバーから見ても、手順が整理されていて分かりやすいと思います。
担当者が入れ替わっても引き継ぎしやすいので、運用面でも賛成です。
第三者視点で「懸念+賛成」を伝える
第三者視点は、懸念を含めて伝えたいときにも使えます。
お客さまの反応を考えると、全体の方向性には賛成ですが、料金表示だけは少し慎重に検討した方が良さそうに思います。
現場メンバーの負担を考えると、基本方針には賛成ですが、初月の作業ボリュームは一度シミュレーションしておきたいです。
「自分だけの意見」ではなく
「関係者の目線を代弁するコメント」として賛成や補足を伝えることで、
- 主観の押し付けになりにくい
- 会議全体の視野が広がる
- 判断材料としても役立つ
というメリットが生まれます。
賛成意見は、ただ「賛成です」とうなずくだけで終わらせるのではなく、
一言でも「理由」「条件」「第三者視点」を添えることで、
会議への貢献度がぐっと上がります。
反対意見や懸念を伝えるNG→OK言い換え表
会議で一番緊張する瞬間の一つが「反対意見」や「懸念」を口にするときです。
内容は正しくても、言い方次第で
- 感情的に聞こえてしまう
- 相手を否定しているように受け取られる
- 場の空気を一気に冷やしてしまう
というリスクがあります。
逆に、同じ中身でも
- 言い出しやすい形に整える
- 個人ではなく「論点」や「リスク」に焦点を当てる
だけで、受け取られ方は大きく変わります。
ここでは、よくやりがちな言い方を
「NG→OK」の形で一覧にし、
自分の発言を見直すチェック表として使えるように整理します。
角を立てない反対意見のNG→OK一覧表
下の表では、
- つい口にしがちなNGフレーズ
- 同じ懸念をより建設的に伝えるOKフレーズ
- 想定シーン
という形でまとめています。
そのまま使っても良いですし、
自分の職場や案件名に合わせて名詞だけ差し替えて使う前提で見てください。
| NGフレーズ例 | OKフレーズ例 | 想定シーン |
|---|---|---|
| それは無理です | 実現までにいくつかハードルがありそうです。特にこの二点について整理させてください。 | 企画会議 |
| 意味がないと思います | この案の効果が少し見えにくいので、目的と指標をもう少し確認させていただけますか。 | 企画会議 |
| 前にも言いましたが、それでは遅すぎます | 以前もお伝えしましたが、スケジュール面でリスクがあるため、もう一度だけ期限について確認させてください。 | 進捗会議 |
| 普通はこんなやり方しません | 他社の事例を見ると、◯◯のような進め方が多い印象です。この観点も含めて検討できると良さそうです。 | 経営会議 |
| その数字はおかしいです | 数字の前提を一度確認させてください。こちらの理解では◯◯という前提ですが、この認識で合っていますか。 | 進捗会議 |
| あなたのやり方だと現場が回りません | 今の運用案だと、現場の工数がかなり増える可能性があります。作業量を一度試算してみてもよいでしょうか。 | 現場調整 |
| そんなの現実的じゃないです | 現在のリソースを踏まえると、今の体制では実行が難しそうです。例えば段階的に進める案も含めて検討してみてはいかがでしょうか。 | 企画会議 |
| それは責任を取れません | このリスクの大きさを考えると、決裁レベルを一段上げて判断いただけると安心です。 | 経営会議 |
| とにかく反対です | 現時点では、この二点の懸念から賛成しきれません。ここがクリアになれば、前向きに検討したいと考えています。 | 全社会議 |
| ちょっと違うと思います | 趣旨には共感しますが、ターゲットの捉え方については少し違う見方もできそうです。別案を一つだけ提案させてください。 | マーケ会議 |
ポイントは、NG→OKの変換で
- 個人ではなく「案・数字・スケジュール」に焦点を移す
- 「否定」ではなく「論点の整理」「代替案」「リスク共有」に言い換える
- 感情語を減らし、「懸念」「ハードル」「リスク」などの中立的な言葉に置き換える
ことです。
自分の業界や職場に合わせて言い換えるコツ
上の表はあくまで「骨組み」です。
自分の職場でそのまま使うには、少しだけアレンジすると使いやすくなります。
1. 名詞部分を自分の現場用に差し替える
例えば、
- 「この案」→「新しい料金プラン案」「新システム導入案」
- 「現場の工数」→「コールセンターの対応時間」「開発チームの工数」
- 「他社の事例」→「同業他社の事例」「グループ会社の事例」
のように、名詞を自分の案件や部署名に置き換えるだけで、
一気に「自分の職場の言葉」になります。
2. 語尾のていねいさで印象を調整する
同じ内容でも、語尾を少し変えるだけで印象は変わります。
- 〜だと思います → 〜かと思います / 〜と感じています
- 〜してもいいですか → 〜してもよろしいでしょうか / 〜させていただけますか
- 〜してほしいです → 〜していただけると助かります
社内の雰囲気がカジュアルなら、
「〜かなと思っていまして」「〜な気がしています」のような柔らかい表現でも構いません。
逆に、かしこまった場では
- 「〜と考えております」
- 「〜の観点から懸念がございます」
など、少しフォーマル寄りに寄せると安心です。
3. 組織文化によるトーンの違いを意識する
- 日系大企業:やや婉曲表現が好まれやすい
- 例「若干懸念がございます」「この点だけ慎重に検討できると安心です」
- 外資系・スタートアップ:結論をはっきり言いつつ、根拠を添える文化が強い
- 例「現状のリソースでは実行は難しいと考えています。その理由は〜です」
どの場合でも共通するのは、
- 相手や案を否定しない
- 具体的な理由や論点を添える
- 「対立」ではなく「より良い結論に近づけるための指摘」として伝える
というスタンスです。
表のOKフレーズをベースにしながら、
自分の部署・業界・会社文化に合う形に少しずつ調整して
「自分用の反対意見テンプレ」に育てていくイメージで使ってみてください。
オンライン会議での意見の出し方とチャット活用フレーズ
対面の会議よりも、オンライン会議の方が
- 話し始めるタイミングがつかみにくい
- 声がかぶるのが怖くて発言のきっかけを逃しやすい
- 通信トラブルがあると、さらに聞き返しづらい
と感じる人は多いです。
ここでは、オンライン会議ならではの
- 声を出す一言目
- チャットで補うときの書き方
- 音声トラブルなどがあったときのリカバリー
をまとめておきます。
オンライン会議で話し始める一言テンプレ
オンライン会議では、対面よりも「今、話していいのか」が読みづらくなります。
その分だけ、一言目の入り口フレーズを決めておくと、かなり楽になります。
小規模ミーティング(社内の通常会議など)
少人数で顔ぶれが分かっている場では、名前をわざわざ名乗らず、すっと入ってしまって構いません。
一点だけ補足させてください。
今の点について、質問よろしいでしょうか。
別の観点から、意見を一つ出してもよいでしょうか。
今のご説明を確認させてください。
少し間が空いたタイミングで、上のような短い一言から入ると、声を出しやすくなります。
大人数の全社会議・ウェビナー型
参加者が多く、誰が話しているか分かりにくい場では、最初に軽く名乗ると親切です。
営業部の山田です。一点だけ質問させてください。
人事の佐藤です。先ほどのご説明について、確認させてください。
◯◯プロジェクトのメンバーの田中です。現場の状況から、一つ補足させてください。
また、挙手ボタンがあるツールでは、
挙手ボタン → 司会に指名されてから「ありがとうございます。◯◯について質問です。」
という流れを自分の定番パターンにしておくと、毎回の緊張が少し下がります。

チャットで意見や質問を投げるフレーズ
発言のタイミングがつかめないときや、音声だと長くなりそうなときは、チャットを活用した方がスムーズな場合も多いです。
シンプルに質問や意見を送るフレーズ
営業部 山田です。◯◯の前提条件を教えていただけますか。
◯◯のスケジュールについて、開始時期のイメージを共有いただけると助かります。
資料3ページ目のグラフについて、データ期間を教えていただけますか。
チャットでは、誰の発言か分かるように「部署+名字」だけ最初に入れておくと親切です。
あとで議題にしてほしいときの書き方
今の議題とは少しずれるけれど、後半に触れてほしいテーマがあるときは、次のような書き方にしておくとスムーズです。
時間があれば、後半で◯◯の進め方についても相談させてください。
本日のアジェンダに含まれていなければ、別途で構いませんが、◯◯の優先順位についても一度ご相談したいです。
本日の範囲外でしたら、個別でかまいませんが、◯◯の権限分担も確認させてください。
このように、
- 「時間があれば」「範囲外なら個別で」
- 「〜についても相談したい」
という二段構成にしておくと、押しつけがましくならずに議題化を提案できます。
口頭発言の前にチャットで予告する
声を出すのが苦手な人は、先にチャットで一言予告してしまう方法もおすすめです。
この議題について、一言だけ現場から補足させてください。
◯◯のリスクについて、あとで短くコメントさせてください。
こう書いておくと、司会側も「では山田さんお願いします」と振りやすくなり、自分も話す覚悟が決まりやすくなります。
通信トラブルや聞き漏らし時のリカバリーフレーズ
オンライン会議で地味にストレスになるのが、
- 音声が途切れて聞こえなかった
- 自分の声が届いているか不安
- 画面共有が見えていない
といった通信まわりのトラブルです。
ここで遠慮してしまうと、内容を取り違えたり、後からやり直しになったりします。
あらかじめ「聞き直し用フレーズ」を持っておくと、かなり楽になります。
音声が途切れて聞き取れなかったとき
すみません、音声が一部途切れてしまいまして、◯◯の部分だけもう一度お願いできますか。
申し訳ありません。こちらの回線の問題かもしれませんが、最後の一文をもう一度お聞きしてもよろしいでしょうか。
途中から音声が聞こえなくなってしまい、結論だけ改めて教えていただけますか。
- 自分側の回線のせいかもしれない、という言い方にして角を立てない
- 「全部」ではなく「◯◯の部分だけ」と範囲を絞る
自分の音声や画面共有が届いているか確認したいとき
今、こちらの音声は聞こえていますでしょうか。
画面共有、見えていなければ教えてください。
スライドがうまく表示されていない場合は、お知らせいただけると助かります。
話し始めの一言として、上のような確認フレーズを入れておくと安心です。
チャットでフォローするリカバリー
どうしても口を挟みにくいときは、チャットでフォローするのも一つの手です。
音声が途切れてしまい、◯◯の部分を聞き逃してしまいました。後ほど資料で確認可能でしょうか。
回線が不安定なため、いったん音声をオフにしてチャット中心で参加させていただきます。
このように一言添えておけば、相手も状況を理解しやすくなり、後からフォローしやすくなります。
オンライン会議では、
- タイミングの読みづらさ
- 通信トラブルによる不安
が加わる分だけ、対面よりも「一言目の型」と「チャットの使い方」が重要になります。
ここで示したフレーズを、自分の職場のツール名(Zoom、Teamsなど)や部署名に置き換えながら、
少しずつ「自分用テンプレ」にしていくと、オンライン会議のハードルはぐっと下がっていきます。
よくある質問Q&A 会議で意見が言えないときの悩み
会議で意見を伝えるのに慣れていないときは、
- 「自分だけができていない気がする」
- 「一度失敗した経験が頭から離れない」
- 「どう練習すればいいか分からない」
といった不安を抱えやすくなります。
ここでは、検索されやすい悩みをそのまま質問文にして、短くポイントを押さえて答えていきます。
全文を読むというより、「自分の悩みに近い質問」から拾って読んでみてください。
質問 会議でまったく話せません どこから練習すればいいですか?
いきなり「長い意見」や「完璧な説明」を目指すと、ほとんどの人は固まってしまいます。
最初のステップとしては、次の二つだけできれば十分です。
1つ目は、「賛成+一言」だけを出す練習です。
たとえば「賛成意見や補足を伝えるときの言い方テンプレ」で紹介したような、次のようなフレーズです。
私もこの案に賛成です。現場の感覚としても、実現しやすいと思いました。
今のご提案に、私も賛成です。特にスケジュール感が現実的だと感じています。
これだけでも、会議に「参加できた実感」がぐっと高まります。
2つ目は、「確認質問テンプレ」を一つだけ決めておくことです(「質問するときの言い方テンプレ 基本形とシーン別フレーズ」参照)。
すみません、◯◯の認識で合っているか確認させてください。
この施策で一番優先したいポイントは、◯◯という理解でよろしいでしょうか。
毎回この一言だけでも出せれば、「何も言えなかった会議」は確実に減っていきます。
最初から全部をやろうとせず、
- 賛成+一言
- 確認質問を一つ
この二本柱だけを「練習メニュー」として決めておくと、少しずつ発言のハードルが下がっていきます。
質問 反対意見を言うときに嫌われないか心配です
反対意見を伝えるときに大事なのは、
- 「人」ではなく「案」に対して話すこと
- 感情ではなく「理由」と「事実」をセットで伝えること
の二点です。
たとえば、次のような言い方は避けた方が無難です。
これは「案」ではなく「相手そのもの」を否定しているように聞こえやすくなります。
「反対意見や懸念を伝えるNG→OK言い換え表」のNG→OK表でも整理したように、反対意見は次のように言い換えると角が立ちにくくなります。
実現までに、二つだけ懸念があります。
方向性には賛成ですが、この部分だけ別の案も検討できると安心です。
とても良い案だと思いますが、◯◯というリスクもあるので、その対策も一緒に考えられると助かります。
「反対します」で終わらせず、
- どこが
- なぜ
- どうなれば進めやすいか
をセットにして伝えると、「嫌われる反対」ではなく「助かる指摘」になりやすくなります。
質問 上司や目上の人に意見しても大丈夫でしょうか?
上司や目上の人に対して意見を言うときは、
- 「否定」ではなく「確認」「質問」「提案」として表現する
- いきなり結論をぶつけず、「前置き+本題」という2ステップにする
この二つを押さえておくと安心です。
たとえば、次のような流れです。
大枠の方針には賛成です。そのうえで、一点だけ確認させてください。
◯◯という進め方もあり得ると思うのですが、この見方についてはどうお考えでしょうか。
お考えに沿ったうえで、現場側から一つだけ提案させてください。
「間違っていると思います」ではなく、
- 「別の見方」
- 「確認したい点」
- 「追加の提案」
として出すことで、上司側も受け止めやすくなります。
どうしても不安な場合は、会議の前後に一度チャットや対面で
会議中に◯◯の点について質問させてください。
と一言伝えておくと、さらに言いやすくなります。
質問 会議中に頭が真っ白になってしまいます
会議で頭が真っ白になるのは、決して珍しいことではありません。
さまざまな調査でも、「人前で話すこと」「会議での発言」は、多くの社会人が苦手と答える場面に入っています。
そのうえで、真っ白になりやすい人ほど、次の準備が効果的です。
- 「一言目」だけメモしておく(「会議で意見を言いやすくする準備とメモの作り方」の事前メモ)
- 「一点だけ質問させてください。」「現場から補足させてください。」「懸念点が一つあります。」
- キーワードだけでも紙や画面に書いておく
完全な文章ではなく、- 「結論」
- 「理由」
- 「数字」
といった単語レベルでも書き出しておくと、「何も出てこない」状態を避けやすくなります。
それでも、その場ではどうしても言えなかった、という日もあります。
そのときは、会議後にメールやチャットでフォローする選択肢も持っておきましょう。
先ほどの会議で言いそびれてしまったのですが、◯◯について一点だけ共有させてください。
先ほどの議論に関連して、追加で◯◯の情報をお送りいたします。
リアルタイムで言えなかったとしても、「何もしていない」わけではありません。
会議の外でのフォローも含めて、少しずつ自分なりのペースを作っていけば大丈夫です。
まとめ 今日から試せる小さな一歩
会議で意見を伝えるのは、多くの人にとって簡単なことではありません。
ただ、一度に全部を改善しようとするほど、プレッシャーが大きくなってしまいます。
ここでは、この記事で紹介してきた内容を振り返りながら、今日から無理なく試せる「小さな一歩」を整理します。
完璧を目指すのではなく、少しずつ「出しやすい一言」を増やしていくイメージで読んでみてください。
まずは一つのシーンと三つのフレーズだけ決める
最初から全ての会議で、全てのテンプレを使いこなそうとする必要はありません。
まずは、自分にとって頻度が高く、具体的にイメージしやすいシーンを一つだけ選びます。
例えば次のような場面です。
- 毎週の週次進捗会議
- プロジェクトのキックオフミーティング
- 部署内のオンライン定例
- 小規模なタスク共有ミーティング
シーンを一つ決めたら、その場面で使うフレーズも「三つだけ」にしぼります。
この三つが、選んだシーンでの「自分の基本セット」になります。
まずはこのセットを会議のたびに意識してみて、出せそうなタイミングがあれば一つだけでも口にしてみる。
それだけでも、
- 何も話せない会議
から - 最低限、一言は参加できた会議
へと少しずつ変えていくことができます。
自分専用の会議フレーズメモを作る
記事のフレーズは、読んでいるだけではなかなか身につきません。
実際に使うための準備として、自分専用のメモを作っておくのがおすすめです。
例えば、次のようなかたちです。
- スマホのメモアプリに「会議フレーズ」として一つフォルダを作る
- 「質問」「賛成」「反対」「オンライン」など、カテゴリごとに見出しを付ける
- この記事の中から「これは自分でも言えそう」と感じたものだけをコピペしておく
使う中で、
- 実際に口にしやすかったフレーズ
- かたすぎて自分には合わなかった言い方
が分かってきます。
しっくり来ないものは削り、代わりに自分の口調に寄せた言い回しを足していくことで、メモは少しずつ「自分だけの会議テンプレ集」に変わっていきます。
また、会議の直前にこのメモを軽く見返しておくだけでも、
- 一言目の緊張が和らぐ
- いざというときの「言葉のストック」が頭のどこかに残る
といった効果が期待できます。
うまくいかない発言も「次の改善素材」として扱う
どれだけ準備しても、
- 思ったより声が震えてしまった
- 他の人と発言がかぶってしまった
- 伝えたかったことの半分しか言えなかった
という日も必ずあります。
これは、会議に慣れている人でも経験していることです。
大切なのは、その一回で「自分はやっぱり向いていない」と決めつけないことです。
うまくいかなかった場面ほど、
- どのタイミングなら言いやすかったか
- もう少し短く言うとしたら、どんな言い方が良さそうか
- 今回の場なら、どのテンプレを使えばよかったか
といった「次の改善素材」がたくさん隠れています。
会議が終わったあと、数分だけ振り返ってみて、
- 今日使えたフレーズ
- うまく出せなかったけれど、次に試したいフレーズ
を一つずつメモに足していくだけでも、少しずつ進歩していきます。
会議で意見を伝える力は、センスではなく「型」と「慣れ」で身についていく要素が大きいスキルです。
今日決めた一つのシーンと三つのフレーズから、少しずつ自分のペースで増やしていきましょう。

